今日はまず、「城崎温泉 三木屋」の朝食についてを簡単に。
朝食も夕食と同じお食事処「平八郎」の半個室でいただきました。
甘酒ヨーグルトでお腹を覚まして、
朝食もまた、素材感を大切にしたほっこり感のあるお料理でした。
香住産のエテガレイの一夜干しが、お宿の朝食の定番のようです。
写真を撮り忘れましたが、お鍋で豆乳を固めたお豆腐もありました。
素朴ながらも、身体にやさしい朝食でした。
チェックアウトの時に、志賀直哉のお部屋を見せてもらえないか尋ねると、
わざわざ女将さんと思しき方が案内してくださいました。
志賀直哉が最初に療養に訪れ、『城崎にて』が執筆されたお部屋があった建物は、北但大震災の被害に遭い、現在は駐車場になっています。
志賀直哉は、たまたま、三木屋に宿泊することになったのだそう。
事故の療養で城崎に到着し、車夫の方に「一番お勧めのお宿に」と告げたら、そのお宿が宿泊できずに、三番目のお宿が三木屋だった・・・と、そういうエピソードも、女将さんが話してくださいました。
最初はたまたまでも、その後何度も三木屋を訪れ、
志賀直哉が好んで宿泊したのが、案内してくださった「26号室」のお部屋だということです。
広縁がついたスッキリした和室のお部屋です。
お部屋自体は、何度か手が加えられているようです。
手紙をはじめ、志賀直哉ゆかりの品々や、当時の写真が飾られています。
左の写真が『暗夜行路』に描かれたお庭の様子で、現在のお庭と同じなのだそう。
『城崎にて』の蜂の描写は震災前の建物だったけれども、『暗夜行路』の描写はこちらの建物だと、女将さんも嬉しそうに話してくださいました。
地元の方が描かれた志賀直哉像。
この「26号室」は、宿泊することも可能だそうです。
落ち延びた三木城の城兵が始めたと言われる「城崎温泉 三木屋」。
300年もの歴史を重ね、現在が10代目とのことです。
北但大震災後に建てられ、国登録有形文化財に指定されている建物もさることながら、
老舗中の老舗だからこそのプライドが、そこはかとなく感じられるお宿でした。
チェックアウト後に、荷物だけを駅まで運んでくれるサービスがあり、駅までのんびり、温泉街を散策して帰ることにしました。