「ななつ星」と「四季島」の食事に関しては、決定的な違いがあります。
それは、「四季島」には厨房があるということ。
つまり「四季島」は、列車内で調理ができるということなのです。
残念ながら「ななつ星」には厨房がありませんので、言ってみれば機内食と一緒。
調理されたものを積み込んで、列車内ではヒーティングと盛り付けしかできません。
そこで苦肉の策で生み出したのが、福岡の有名寿司店「やま中」の大将に乗り込んでもらって、列車内で握ってもらうという方法。
この方式は、「ななつ星」が最初かどうかは定かではありませんが、非常に話題になり、他の観光列車でも取り入れられるようになりました。
「四季島」でも、昼食に取り入れられていました。
「四季島」は、厨房で調理しての提供ということで、お寿司以外は、列車内での食事は、すべて洋食でした。
それぞれの土地の有名レストランのシェフが乗り込んで、その土地の新鮮な食材を使ってのお食事で、
レストランを訪れたのと同じような美味しい食事がいただけました。
列車内では洋食続きでしたが、列車を降りた時は、旅館のお食事だったり、青森での夕食は和食のお弁当、函館では料亭の和朝食と、和食が提供されました。
一方の厨房がない「ななつ星」は、洋食の提供の方が難しいようで、列車内では和食が提供されました。
夕食も列車内での提供が一回ありましたが、有名店での調理ということもあり、料亭でいただく時と遜色なく、美味しくいただけました。
あとは、昼食が2回、お弁当での提供でしたが、地元の有名店が作るお弁当だけに、どれも素晴らしく、
温かいお味噌汁と一緒に美味しくいただきました。
朝食で一度、洋食が出されましたが、
スタッフさんの「たった今積み込まれた朝採れの野菜です」とか
「JR九州の養鶏場の新鮮な卵を使ったオムレツです」と満面の笑顔で出されると
単に、ヒーティングして盛り付けただけではない美味しさが加わり、ついつい完食していました。
列車を降りてのお食事も、JR九州が「ななつ星」のために作った「火星」というレストランでの朝食であったり、
仙巌園での夕食では、普段は一般開放をしていない「謁見の間」で、
庭園を管理する島津興行の方の楽しいお話を伺いながら、「ななつ星」のために特注された配膳台で、殿様の宴会ゆかりの郷土料理をいただいたりと
個人ではできない経験もさせてもらいました。